継続
武道の道を歩み始めて38年となる。曲がりなりにもここまで続けられたのは幸運であった。
よき師に恵まれた。そして岐路に立つたびに、その師が進むべき道を示してくれた。環境にも家族の理解にも恵まれた。細々としか続けられない時もあったが何とか続けてこられた。いつしか武道は自分の人生と切り離せないものとなり、それを止めるということは選択肢から消えた。この幸運に心から感謝している。
武道は宝庫である。次から次へと発見を与えてくれる。年齢と経験を重ねることで初めて見えるもの、感じることがある。そして人生を生きていく術(すべ)と力をもたらしてくれる。
ただ、続けることは簡単ではない。環境の変化、仕事、家族の事情、あるいは怪我、病気により歩みを止めざるを得ない例を多く見てきた。そして一度止まってしまうと、また歩き始めるのに一層強い意志が必要になる。今、武道の志を持っている人は、例え細々とでも続けることである。再開の気持ちがある人は、勇気を持って次の一歩を踏み出したらいい。私たちの前には道が続いている。
少しずつでも前に歩み続け、いつか人生が終わるときにその道の一番深奥に近いところにいたい。
大東流合気柔術副本部長・世田谷支部長
教授代理 臼山 秀遠